『寅風景』 〜吹き抜けた風を追って〜

アクセスカウンタ

help RSS 馬鹿が戦車(タンク)でやって来る

<<   作成日時 : 2007/09/15 00:38   >>

ナイス ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 0

タイトルを見て「何だ?」と思う方、    
画像

「あ〜、映画のタイトルね。」と思う方、
後者の方、映画お好きだね。

いわゆる山田洋次監督の「馬鹿」シリーズの第3弾!
1964年(昭和39年)12/26公開作品。

「馬鹿」シリーズは「馬鹿まるだし」(1964/1/15)、「いいかげん馬鹿」(1964/4/29)
と続いた後、この作品で終わりとなる。

元々は團 伊玖磨(だん いくま)の「日向村物語」が「馬鹿シリーズ」の原案となって
いるようだ。

もうここまで来るとハナ肇と山田監督との息の合い方が絶妙になっていると思う。
ハナさんはとても良い声をしている。
風貌も山田監督好みなのだろうか。

画像


「男はつらいよ」の映画に続いていく一本ということであれば
これは絶対に観なければいけない。


ということでこの映画をDVDで初めて観た。


先ず感じたこと。
カメラアングルや画面の中の人物の動かし方、隅々までよーく動かしている。上手い!
画面全体を無駄にしていない所をよーく観て頂きたい。

カメラを動かすのではなく人物を動かす。
位置関係もわかり、時間の経過や奥行きがわかってくる。

昔の映画はどちらかと言えばセリフにあわせて人のアップを持ってくるパターンが多いが
山田監督は違う。

ここぞと言う時に山田監督はわざとアングルをアップにしない。
あえて引きの画で全体を見せる。

農村の風景、カメラマンはあの高羽哲夫さん。「男はつらいよ」を47作担当された高羽さん。

高羽さんは日本の風景を撮らせたら本当に上手いと思う。

画像


なので作品の古さが感じられない。これは安心して観ていられる。
作品に集中できた。


ちょっと気になったことは
冒頭、穂積さん扮する村の駐在さんが乗っているのはホンダの「バタバタ」だろうか?
もしそうならちょっと感動!走っている姿は初めて見た。
そんなところ。

画像


前知識は一切持たず、ただ映画を楽しんだ。
最初はタイトルからしてちょっと「どうかな?」という気持ちで観ていたのだが。



はっきり言ってパッケージ写真のイメージと内容は随分違うと思う。

パッケージの写真だと、どこかのサラリーマンが自衛隊か博物館から
古い戦車を盗んで暴れまわっているように見えなくも無い。

そうではない。

舞台は古い日本の農村である。
そして決して大砲は撃たない。ただ戦車が村中を走り回るだけ。
大砲撃っちゃったら多分途端にしらけていたと思う。

そこが山田監督らしい。撃たない。良い意味で観客の期待を裏切る。
戦車が出るなら当然大砲をぶっ放していると想像してしまう。


そもそも物語りは漁夫のおとぎ話のような昔話として始まる。

物語は単純。単に主人公が村人に戦車で復習する話。
しかし、とても非現実的な話。
こんな話を無理なく進めていく。









この物語、単純な喜劇映画ではない。
最後は感動する。
しない方、ちょっとヤバイよ。




以下ネタバレ






オープニング




釣り人に都会からやってきた感じのサラリーマン谷啓とその上司松村達雄。
船頭に東野英治郎。釣れなくなったからポイントを変えようと船が移動する。
その移動中に昔「日永村」で起こった逸話を東野が回想する。

画像


昔、日永村の村はずれに、乱暴者の少年戦車兵上がりの男、サブ(ハナ肇 )が
耳の遠い母親、とみ(飯田蝶子)と頭の弱い弟兵六(犬塚弘)と一緒に暮らしていた。

画像


画像


村中からサブは馬鹿にされていたが、長者仁右衛門(花沢徳衛)の娘紀子(岩下志麻)
だけはサブの幼馴染で味方だった。



ある日、サブは紀子から全快祝いに席に呼ばれる。

めかし込みその気になったサブを村仲間は面白がっていた。
村仲間からもおだてられ馬鹿にされているとも知らず、その気になったサブは
紀子の祝いの席へと出向いていく。

画像


しかし現実は違う。仁右衛門から祝いの席から追い出され、それに逆上したサブは
暴れ回り、警察に送られてしまう。

サブがいない間に村会議員の市之進は母親のとみをだまし、
サブの土地を巻き上げるために土地を担保に高額の金を貸付けてしまうのである。

帰ってきたサブは怒り、隠していた戦車を運転し、村中を暴走させ、村の人たちを
恐怖のどん底にたたきこむ。

画像


画像


そのとき、兵六が火の見櫓から落ちて死んでしまう。

画像


それを知ったサブは兵六の死体を戦車に乗せ去っていく。

画像



映画全体を通して思うのが

日本古来から現在も続く、農村など閉鎖的な地域に根付く
悪い風習に対する社会風刺の映画に思える。

自分たちが理解できないことは認めない。排除する。みたいな・・・。
異端児扱い。

画像


自分の私利私欲や傲慢のために生きていると本当に大切な何かを失ってしまう。
その事に気が付いた時は、取り返しの付かないことになっている
というようなメッセージ映画のようにも思える。


戦車と兵六の亡骸を海に沈めてしまうサブ。

そのシーンは戦車の進んだ跡と会話での想像になるのだが
これが何ともいえない。

画像


サブは死なず母と共に村を離れる。


エンディングは「タンク道」という山越えの山道ができ
海辺の町まで2時間以上掛かる道程を
わずか40分程で行き来できるようになる。
あ〜、サブよ。お前の愚行は闇に消え功績として村に残っている。

画像


画像


悲劇で終わらないのがミソ。





農村を戦車が走り回る。これだけでも奇妙奇天烈である。
ある意味SFかも・・・。

画像


それでいて農民と戦車の追っ掛けっこはなぜがマッチしている。
落とし穴を掘って戦車を落とそうと言うのがとっても良い。
現実に戦争でおこなった手法だがやっているのが農民なので
非常にコミカルに見える。
ちょっとした童話のような話。じゃあ、この鈴を誰が猫につけるの?みたいな感じで
戦車を誰がおびき寄せるんだ、ということでもめる。結果は失敗に終わる。


画像




郵便局員に小沢昭一。(カラスの常ダァ〜)

警察官に穂積隆信(博の三兄弟の次男)など
山田映画に欠かせない面々が揃った1本。


私的には素晴らしい映画だ。



画像

テーマ

関連テーマ 一覧

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
ナイス ナイス
面白い

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
馬鹿が戦車(タンク)でやって来る 『寅風景』 〜吹き抜けた風を追って〜/BIGLOBEウェブリブログ
[ ]